「……ご主人様……ご主人様」

コロコロとした高めの声が、僕の身体をユラユラ揺する。

「ご主人様っ!」

「はいっ!」

耳元で大きな声を出され、僕は一気に目を覚ます。

「お疲れですね。お風呂どうします?このまま寝ます?」
心配そうに目の前に座り、彼女は僕にそう言った。

寝ぼけた目で時計を見ると、午後11時ちょい。

知らないうちに寝てたのか。

でも久し振りに熟睡した気分。

「大丈夫ですか?」

「あ……ごめん。うん大丈夫」

「よかった。今、お水を持って」

「いや大丈夫。それより話があるんだけど」

優しく彼女に言うと、スズメは覚悟を決めたように僕の目の前に正座する。

正座って……いや、説教じゃないんだけどさ。

「ごはん美味しかったよ」
先にそれを言うと
神妙な顔がそれはそれは明るくなった。

わかりやすいな、この子。
無表情な僕と正反対で表情がコロコロ変わって楽しい。

「家に帰りたくないのかな?僕でよければ家まで送ってあげるよ。お金も少しだけど貸してあげる」

「あの……」

「家出の理由は人それぞれだけど」

「ご主人様。泣いてます」

え?