美味しかった。
本当に美味しかった。
こんな手料理久し振り。
前の彼女もその前も
料理が苦手な彼女だったので
僕も作ってもらえず終わり外食が多かった。
手料理って美味しい。
味もさっぱりしていて僕好み。
田舎の味。
僕がおかわりするとスズメは大喜び。
「本当に美味しい」正直に言ってしまう。
「当然です」明るい返事と笑顔が部屋に広がって幸せな気分に……だまされてはいけない。
箸を動かしながら居間を見渡すと
あちこちが綺麗になっていた。
いや
いつも適度に片付けてはいるのだけれど
家具も床もピカピカしていて
全体的に膜がツルンと取れたような
一皮むけたようなイメージ。
スズメはテレビを観ながら笑ってご飯を食べていた。
僕の帰りを待っててくれたんだ。
先に食べてもいいのに
僕がジッと彼女を見ていると
スズメは視線に気づき
ハッとした顔で僕を見つめた。
「ご主人様申し訳ありません。ご主人様はみのもんた派じゃなくて、とんねるず派なのですね」
って慌ててテレビのリモコンを探していた。
いやケンミンショ―でいいよ!
そこじゃないんだけど。