「いってらっしゃいませー!」

今日もまた
三階のベランダから落ちそうなくらい飛び跳ね
鈴芽はブンブンと大きく手を振る。

「いってきまーす」

僕は振り返り
左手を軽く上げて鈴芽に応えた。
上げた左手の薬指には
鈴芽とおそろいのシルバーリングが、朝の光を浴びて輝いていた。

僕達はつがいになった。

つがいになっても
今までと変わらない。

僕は鈴芽に怒られて
鈴芽は家の中でも忙しそうに動きまわる。

あれから
悪い夢は見なくなった。

鈴芽を抱きしめて寝ると
おひさまの匂いがするから
安心して熟睡できるのかもしれない。

ホテルの極悪オーナー母子との縁も切れる。
契約書を書いてもらい
賞金の一千万を叩きつけようと思ったら

『500万にしましょう。それが嫌なら法律事務所か警察に行って話を聞いてもらって、金額の設定を改めてしてもらいましょう』

目を細めて鈴芽が言う。

強気に出たな鈴芽。

とにかく500万で全て終わった。