つぎの日。
わたしはびょういんの前に、すなはまに行く。
いっしょうけんめい
白いかいがらをさがして
小さいけどキレイなのを見つけた。
よし。お兄ちゃんよろこぶかな。
走ってお兄ちゃんのびょうしつに行こうとしたら、うでをつかまれて止められた。
もう。どうしてジャマするの?
プーってうしろを見たら、いつものかんごしさんで目を赤くして首をよこにふった。
そして
わたしはお兄ちゃんの大きな声で体が動けなくなる。
だって
いつもやさしいお兄ちゃんが
すごく すごく
すごく大きなこえでないている。
お兄ちゃんがないている。
スキマからのぞいたら
お兄ちゃんのおばあちゃんがこまってる。
お兄ちゃんはおばあちゃんに、大きなこえでおこっていた。
「嘘だ!お母さんが死んだなんて嘘だ。みんな死んだなんて嘘だ!」
「宏斗」
「おばあちゃん言ったじゃない。みんな元気だって。看護師さんも先生も言ってた。僕だけケガして、みんなは無事だって」
「すぐ本当の事を言えば、宏斗がショックを受けるでしょう。だから時間を置いたのよ」
「嘘だ!お母さん、お母さん!お父さん。お兄ちゃん。死んじゃ嫌だ。僕だけ残さないでよ。僕も死ねばよかったんだ」
「宏斗!」
「僕が悪い。僕がワガママ言ったからだ。僕が殺したんだ。僕が悪いんだよ。まだお兄ちゃんに謝ってないのに。お兄ちゃんは大会があるのに……どうしてみんな死んじゃうの?」
おばあちゃんもかんごしさんも
みんなみんなないている。
お兄ちゃんがさけんでる。おこってる。すごくないてる。
お兄ちゃんなかないで。
鈴芽もくるしいよ。