お父さんは少しだけ元気になったけど
ずっとねたまま。

お母さんはびょういんに来なくなった。

でもわたしは前よりさみしくない
だってお兄ちゃんがいるんだもん。

「鈴芽ちゃん。こんにちは」
お兄ちゃんはいつもやさしくて、わたしはお兄ちゃんが大すき。

お兄ちゃんのれいぞうこには、リンゴやミカンやバナナ。
チョコやジュースが入っていて、まほうのハコみたい。

やさしいお兄ちゃんはいつも「はい」ってくれるから、それもとってもたのしみだ。

かんごしさんには「また鈴芽ちゃん来てる」っていわれるけど、お母さんみたいなおこったこえじゃない。

お兄ちゃんに夏休みのしゅくだいの
どくしょかんそうぶんの作り方もおしえてもらった

「読んだ感想を書いてごらん。どこがおもしろくて、どう思ったか」

「うーん」
おべんきょうはスキじゃない。

でも
お兄ちゃんは学校の先生より、じょうずにおしえてくれる。

「お兄ちゃんってすごいね。鈴芽はカシコクなった気分だよ」

「そう?ありがとう嬉しいな。作文は好きなんだ。僕はお話を作るのが好きなんだよ」

「おはなし?」

「うん」お兄ちゃんは、はずかしそうにおしえてくれた。

「僕は作家になりたいんだ。ファンタジー小説が大好きで、いつか必ず小説家になりたいんだ」

お兄ちゃんのゆめは作家さんなんだ。すごい。

「お兄ちゃんならなれるよ。ぜったいだいじょうぶ」

「ありがとう」

お兄ちゃんはわたしの頭をなでてお礼をいう。

やさしいやさしいお兄ちゃん。

ずっとこのまま
お兄ちゃんといっしょにいたいな。