「亀ちゃん大丈夫?」

中岡に聞かれて
僕は彼の身体を強く抱きしめる。

「げっ!やっぱり」
「やっぱそーなの?」
そんな彼女たちの声は聞こえない。
僕は強く中岡を抱きしめる。

「亀ちゃん頼むって。俺はノーマルなんだから誤解される事すんな!」

「ありがとう。これで全部思い出した」
泣きそうな声の僕が彼に届き
中岡の動きが止まった。

「どうした亀ちゃん?」
低い声で僕に言い
僕は正直に

「振られた女の子が忘れられない。大好きで大好きで、どうしようもないぐらい大好き。彼女には婚約者がいるけれど忘れられない。もう一度だけ挑戦したい」

彼に言うと
中岡は嬉しそうにうなずいて
自分のポケットから車のキーを僕に渡してくれた。

「後悔しないように行けよ。昼からサボれ」

「中岡……愛してる」

僕はそう言って彼にまた抱きつくと、周りが気のせいか大騒ぎ。

「だから誤解させるなっ!カメラは止めろ!動画を取るなっ!」

「ありがとう」
そう言い残して
僕は貝殻をポケットに入れて食堂を出て駐車場へと向かう。


待っててスズメ。

悪かった

忘れていて悪かった。