でもリビングに違和感を感じ
スズメの部屋に入って扉を開くと
布団が綺麗に畳まれていて
スズメの荷物がなかった。
「スズメ?」
そして布団の上に手紙がひとつ。
丸っこい字で『亀山宏斗様』って書いてある。
僕は手にしてソファに座り込み封を開くと
【今までお世話になりました。
ご主人様をつがいにできなくてごめんなさい。
幸せにできなくてごめんなさい。
ご主人様の幸せが私の幸せです。
さよならじゃなくて
出会えてありがとうですからね。
スズメはご主人様に出会えて幸せでした。
大好きな大好きなご主人様。
スズメはご主人様がずっとずっと好きでした。
『出て行け』って言われたけれど
出て行きたくなかったんです。
ギリギリまでご主人様と過ごしたくて
出て行かなかったのはズズメのわがままでした。
ごめんなさい。
ご家族の話で自分を責めないで下さい。
ご主人様は何も悪くありません。
水族館嬉しかったです。
レストランもプレゼントも嬉しかったです。
お別れがつらくなるので
一日早く出て行きます。
大好きな大好きなご主人様。幸せになって下さい。
三ヶ月間ありがとうございました。
スズメ】
封筒の中に何か堅い物が入っていて
手を伸ばすと
小さな白い貝殻が二つ入っていた。