「雀に戻ったら、ぬいぐるみもそれも邪魔になるかな」
コーヒーを飲みながらポソリと言うと
「ぬいぐるみは寝床になりますし、ネックレスはその中にしっかり大切に隠しておきます。カラスに見つかったら大変ですよ。ヤツらは光る物が大好きですから」
鳥世界のリアルを知る。
「今年の冬は温かいなぁ」
そう喜ぶスズメ。
もういいよ。
雀でもなんでも。
「スズメ」
「はい?」
「また会える?家は裏のマンションの電線なんだろう。たまに僕の元に来てくれる?婚約者に怒られる?言葉が通じなくてもいいんだ。僕は早く起きてベランダに出て……」
「ご主人様。もうお別れなんです。期限切れです」
優しい声で彼女に諭される。
「どんな姿でもいいんだ。君ともう少し一緒に……」
「あと数日でお別れです」
お別れ……。
「ギリギリまで、木之内さんを落す対策を練りましょう」
真剣な顔で言われて
僕は「そうだね」って答えるしかなかった。