「でもいきなりどうしたの?なぎさが料理するって言い出すなんて」

「……たまには、したことないこともしてみようかと思って」



それは、自分の中の小さな変化。

ここにいたいから手伝う、とか、そういうのじゃなくて、ほんの少し、些細なことでも変わっていきたい。そんな気持ちからの行動だ。



短いひと言から私の気持ちを察するかのように、新太は「そっか」と笑った。



「あ、そうだ。朝ごはん食べたら出かけようと思うんだけど……なぎさも一緒にどう?」

「え?」



出かける……って、どこに?

首を傾げた私に、新太はあっという間に切り終えた大根をボウルに入れて言った。



「なぎさに、会わせたい人がいるんだ」