『アイツ本当男好きだよね』
『少し美人だからって気取っててさぁ』
男の子のことが好きなわけじゃない、気取ってなんていないよ。
本当は友達がほしい、あなたたちと仲良くなりたい。
そう上手く伝えることも出来なくて、小さな敵が増える日々。
そんな中で、初めて声をかけてくれた子がいた。
『深津さん、ひとりでごはんなんて寂しいじゃん!一緒に食べようよ』
『えっ、でも……』
『いいからいいから。私、幡野可奈子。よろしくね』
ある日そう声をかけてくれたのは、クラスメイトのひとり……幡野可奈子だった。
可奈子は、小柄でかわいくて、クラスの中心にいる人なつこい性格。
まるで自分とは真逆の性格の彼女は、周囲の視線も気に留めず笑顔で接してくれて、そんな彼女と仲良くなるのに時間はかからなかった。
『帰り遊んで行こうよ』
『いいよ、どこ行く?』
『じゃあプリ撮ってー……』
朝は教室で話をして、授業中はこっそり手紙を書いた。
お昼は一緒にごはんを食べて、掃除中にふざけていて先生に叱られたり、帰りはより道しながら帰って。
お揃いのカバン
色違いのストラップ
たくさんのプリクラ
増えていく思い出と物が、ふたりの仲をいっそう結んでくれた。