「昨日は、すみませんでした!!」
昨夜のお風呂場での大絶叫から一夜明け、新太の家にやってきて4日目の朝。
今日も明るい陽射しが照らす居間で、新太は私に手を合わせて謝った。
昨夜、新太に裸を見られたショックから、私は新太の顔も見ることなく部屋にこもってひと晩を過ごした。
朝になって多少は気持ちも落ち着いて、顔を見せてからというもの、新太はずっとこの調子だ。
不機嫌な私に対し、深々と頭を下げる。そんな彼の左頬は、私の力いっぱいの平手打ちによって真っ赤に腫れ上がっている。
痛そうにしながらも、まずは謝罪をする新太に私は容赦なくジロリと睨むような視線を向けた。
「……最低。変態」
『変態』、そのひと言に新太は慌てて顔を上げる。
「ご、誤解だって!トラが廊下でタオルで遊んでたからもしかしてと思って持って行っただけで……なぎさが出てきたところだったとは思わなかったんだって!」
「言い訳とか本当気持ち悪い」
「言葉が鋭利すぎるよ!!」
必死に弁解する新太に、恥ずかしさからつい冷たい言い方をしてしまうものの、本当はトラのせいで起こったただの偶然だということも分かっている。
けど……いくらトラのせいとはいえ、本当に最悪だ。
まさか、裸をみられるなんて。
しかも私の裸なんて、見てもなんの得にもならないようなもの……。
見られたことにも、自分の控えめの胸にも少し落ち込みながら、ふんと顔を背ける。