するとその時、「あはは!」と前方から大きな笑い声が響いた。

突然のその声にビクッと身を震わせて見ると、そこには女子高校生がふたり、前からこちらへ向かって歩いていた。



自分と同じ歳くらいの彼女たちは、学校帰りなのだろうか。

太ももくらいの丈の短いスカートを揺らしながら、楽しそうに話して歩いている。



「本当ありえないじゃん!だからさぁ、マジクズ、さっさといなくなれよって思わず言っちゃってさ」

「うわ、言いすぎだし」

「だって事実だもん!あいつなんていなくなっても誰も困らないって!」



見ず知らずの彼女たちが、誰のことを言っているかなんてわからない。

どこかの誰かのことで、それは自分に対して言っているわけではない、ということは確実で。

だけどその言葉たちは、今朝の夢と、胸の奥の記憶たちをよりいっそう生々しくよみがえらせる。



何度も何度も、言われた覚えがある。

敵意や悪意に満ちた言葉たち。



『おい、クズ女』

『さっさと消えろよ。キモいんだよ』

『あんたが死んでも誰も困らないから。この世に必要ない、ゴミと同じ。っていうか、ゴミ以下?』



いやだ、思い出したくない。



いやだ

いやだ

いやだ



いや、だ