「リカちゃん。ノートあとから貸してね」
美音ちゃんは私にそう言い残し
後ろのドアから走って行ってしまった。
「はい。こっち見る!教科書の35ページ見て」
先生は何事もなかったようにみんなに声をかけ、授業に戻る。
私は雨の降る校庭を見下ろすと
美音ちゃんが白を基調とした戦闘服のミニワンピで、パタパタと走って行くのが見えた。
白いブーツの泥ハネがひどい。
あ……転んだ。
固まって立ち上がらない。大丈夫か?
戦闘前なのに、べちゃべちゃ泥だらけじゃん。
絶対泣いてるぞ。
小学校からの仲良しさん。
山本 美音(やまもと みおん)ちゃん。
私の親友。高校一年生。
ふんわりボブがよく似合う
色白で癒し系の可愛い顔
わりと天然入ってて泣き虫。
でも、根性があってスポーツ万能。
空手教室をやっている、自分のおじいちゃんに習って小学校で黒帯。ついでに柔道も黒帯。
空手も柔道もオマケみたいなものらしく
美音ちゃんの両親はオリンピックの体操選手で、美音ちゃんは体操に一番力を入れていた。
ジュニアオリンピックでメダルをもらい
小学生の頃から天才少女と騒がれて注目されていた。
その注目が悪かったのか
彼女は
地球を守る
戦隊レンジャーにスカウトされ
この春から
地球の為に戦っている。