弟は『スゲー』って言ってくれたけど
ネットの評判は『戦い雑っ!』だった。

たしかに……雑だ。

遅めの夕食を食べ終わり、チラリと時計を見ると8時。
美音ちゃんが気になる。
山本家の家族会議は終わったろうか
美音ちゃんに電話しようと思ったら
以心伝心
美音ちゃんから電話がきた。

『リカちゃん。私レンジャー辞める』
鼻息が聞こえそうな勢い。

「お母さん許してくれたの?」

『いい顔してない。お兄ちゃんが怒ってプロレス技かけてきた』

その家族に参加するの嫌だ。

『でも説得してる。政府の人にも言った。明日の土曜日に警察署で【一日署長】の仕事あるから、それが終わってからまた詳しい話をするの。リカちゃん!私の味方になってね』

「うっ……うん」

『私も普通の女子高生になりたいもん。小さな時から柔道や剣道、体操やって、みんなが楽しくカラオケや買い物していても、私は家で二回宙返りの猛練習してた。普通の女子高生になって男の子とデートしたい』

「まぁ……ね」

『私だって、みんなみたいにヘソピアスしたり金髪にしたり、コンビニの前で地べたに座ってアイス食べたいもん!』

いやそれ普通じゃないし
美音ちゃんは、どんな方向に行きたいのだ?

『夜の8時に戦いに疲れて眠くなるのは嫌。リカちゃんとダラダラお話したい。上野君と付き合いたい』

そうだね。
それもいいかもしれない。

思えば忙しい女の子だったのね。