「美音ちゃん。ちゃんと聞いてた?レンジャー辞めろって言われたんだよ」

山本美音よ目を覚ませ!

「可愛がってくれるって」

熱でもあるんじゃない?ってぐらいに、ぽーっとした顔の美音ちゃん。

これはダメだ。

「でもレンジャーをね……」

「辞めるっ!」

返事早すぎるし。

美音ちゃんは目をキラキラさせて私を見つめた。

「リカちゃん。上野君だよ。あのイケメンの上野君がこんな私と付き合ってもいいって言ってくれてるんだよ。それだけで奇跡だよ」

背中からGReeeeNの歌声が聴こえそう。
美音ちゃんの好きは加速しそう。
たしかに奇跡か?

「私は地球より上野君なの。今から両親を説得する」

そしてまた
乱れた髪をさらに乱しながら

美音ちゃんは走って去ってしまった。


後に残された

私と湊。

「どう思う?」

湊に聞くと

「あー……とりま……ナゲット食べて考えよう」

政府からの差し入れを残された2人で食べながら

美音ちゃんの選択が正解か不正解か考える。

そして
あの山本体操教室の両親が何て言うのか……。