湊は困ったように私を見て
上野はシラケた顔をする。
そんな2人の顔を正面から美音ちゃんは見て、潔く左手首の電子音を消した。
ええっ?消した?
美音ちゃんが通信を切った?
真面目なピンクが?
戦いには100%出席の美音ちゃんが?
「私が行かなくても勝てるから大丈夫」
なんとかこの場を守ろうと
美音ちゃんは地球よりマックを選んだ。
「だな。たまに休めよ。そーいえばさぁサッカー部の藤田、やっぱ骨折してたらしいわ」
湊が話の流れを変える
「まじ?次の大会どーすんだろね、藤田君いないとマズいよね」
私もその流れにのっかろうとするけれど
再び
美音ちゃんの電子音が鳴り
美音ちゃんは唇かんでそれをまた消す。
そんな事を3回繰り返してると
マックの店員さんがやってきて
「山本さんすいません。政府から連絡が店に入りまして『とりあえず出てくれ』と言ってました」
って言われてしまった。
その通信機
ナビ付なの?
「わかりました。ごめんなさい」
美音ちゃんは店員さんに頭を下げてから
「すぐ戻るからね。必ず戻る。絶対今日は行かないからっ!絶対待っててね!」
必死な目をして私達に言い
走って席を外す。
「いくら可愛くても、こーゆーのがシラケるし」
上野は苦笑いをして
長い指でポテトをつまむ。
怪人よりこっちのほうが悪そうな気がする。