つまりは、そういうことだった。
≪まあ、あと少しやもんねー≫
そういうこと、だった。
足を少し動かすと、砂利が小さく音を立てる。
そっと目を閉じて、水ヨーヨーを両手で包んで、花火の音を聞く。
すうっと息を吸い込むと、微かに日だまりの匂いがした。
「……柊」
「なに」
「しゅう」
「うん」
「しゅー」
「……だから、なに?」
柊が、あたしのほうを見た気配がした。そっと目を開けて、あたしも柊を見る。
「もう、終わっちゃう」
来年も再来年も、なんて。
きっと、そんなの無理なんだ。
もう、森ヶ山線の工事は終わってしまう。