生徒で溢れる廊下を四人で歩き、下駄箱で靴を履き替える。
俺の白い靴は、ようやく汚れてきた。転校初日に履いていた赤いスニーカーは、家の下駄箱で眠っている。
「午後って何か用事ある?」
足元を見ていると、不意に隣に並んでいるみどりが言った。
「私は何もないけどー?」
「うん、俺も今日は手伝わんでいいって言われたし」
「別に、何もないけど」
俺もそう呟けば、みどりは目を輝かせた。
「じゃあ今日遊ぼ! 川行こ!」
「……川?」
「あー、うん。いいよー、行こ行こ」
「今年初やなー」
首を傾げる俺のことは無視で、盛り上がり始める三人。
……俺、完全にアウェーな気がする。
「何持ってくー?」
「スイカ割りしたいなー」
「誰がそんな重たいの持っていくんよ」
「……トシちゃんとか?」
どこの川に行くのか分からないし、川で何をするのが定番なのかいまいち知らないから、成り行きを見守る。
どの学年の生徒も一斉に帰るからか、自転車置き場はいつも以上に混んでいた。