そして莉央はおろしたての厚手のハンカチに包んだものを無心でサラダを口に運ぶ高嶺の前に置いた。
「なんだ」
「お弁当です。いつでもつまめるようにサンドイッチです。いらないなら持っていかなくてもいいですよ」
お弁当と聞いて、高嶺は切れ長の目を何度かパチパチさせた。
よっぽど驚いたらしい、言葉に詰まっている。
「え、ああ、いや……助かる。昼はシリアルのつもりだったしな」
(やっぱりシリアルなんだ……。)
余計なお世話かもしれないと思ったが、作ってよかったと、莉央は胸をなでおろした。
その後、朝食をきれいにたいらげた高嶺は、今度は「ごちそうさま」と言い、身支度を整えた後「チワワには言えないだろう」と機嫌よくお弁当を持って仕事に出て行った。
「小松さんと張り合ってる……?」
やはり変な男だ。