「あっ!」
「なんだよ」
「いただきますは?」
「は?」
「いただきますでしょ! 羽澄の家の小松さんだってちゃんと待ってから食べますよ!?」
「誰だよ小松さんって」
「チワワです。とても賢いんです」
「……そうか」


 チワワ以下と言われた高嶺は、そのままトーストを口の中に押し込む。


(なんだかちょっと面白いかも……。あんなオオカミみたいな風貌で、無心でパクパクしてるの……。)


「これ、莉央が作ったのか」
「朝、散歩をしていたらパン屋さんを発見して。で、その向こうにコンビニがあって。野菜とか卵とか買えたので」
「うちにトースターなんかあったか?」
「フライパンで焼けるんですよ、食パン」
「へぇ……」


 なんでも知っている高嶺が、パンがフライパンで焼けることを知らないとは不思議である。