「コーヒーよりもミルクの方がいいですよ……ねって、ちゃんと服着てくださいっ!」
グラスにミルクを注いでいた莉央は、裸にバスローブを引っ掛けただけにしか見えない高嶺を見て、慌てて目を逸らす。
美しい体だった。
体質なのだろう。食事はめちゃくちゃのくせに、筋肉質で引き締まったしなやかな体つきは奇跡としか言いようがない。
(あのしなやかな首から肩。腕……なんてきれい……って、何考えてるの!)
一瞬、彼を描いてみたい衝動に駆られた自分に腹を立てながら、高嶺を睨みつけた。
「食べたら着替える」
まるでいうことを聞く気配はない。
(本当に勝手なんだから……っ!)
仕方なく、椅子に座った高嶺の目の前に半分に切った厚切りトーストを置くと、彼はサッとトーストを手に取り、パクリとかぶりついた。