今はまだ若さでなんとかなっているかもしれないが、こんな生活を続けていたら、あと十年もすれば途端にガタがくるのではないか。
それに彼は、タカミネコミュニケーションズのCEOである。責任ある立場の者がこれでは、周囲もやきもきするのも当然だろう。
(これはある意味人助けかもしれない……。そう、人助けよ。高嶺の健康を維持することで、社員の皆さんが安心して働けるわけだし……。)
腹をくくり、莉央はしっかりとうなずいた。
「わかりました。その交換条件受け入れます」
「……そうか」
高嶺は切れ長の目を細めてニヤリと笑うと、
「じゃあよろしくな、莉央」
と、ソファーから立ち上がり、そのまま莉央の頭をポンポンと叩く。
いきなりのことに驚いて、つい叩かれるがままになってしまったが、自分を見つめる高嶺の目がどうもキラキラと楽しそうに輝いているのに気づいて、頰が染まる。