莉央はどこか違和感を覚えたが、高嶺はすぐにいつものように皮肉っぽい表情をして、足を組む。


「そうだな……借りを作るようで気が進まないというなら、交換条件を出そうか」
「交換条件?」


 無理難題を言われるのかと身構えると、高嶺はクスッと笑って足を組み直した。


「実は会社の人間に、人間らしい生活をしろ、ちゃんとしたメシを食えと再三言われてる」
「それって、私に料理をしろってこと?」

 料理は苦手ではないが、いわゆるセレブ層のこの男の口に合うものが作れるのだろうか。

(とても、口が肥えてそうだけど……。)


「適当でいい。何しろ今は朝も昼もシリアルだからな。それよりマシだったらなんでもいい」
「ええっ、朝も昼もシリアルッ!?」


 それまで割と大人しく話を聞いていた莉央だが、朝も昼もシリアルと聞いて思わず叫んでしまった。