いつまでも外にいて体調を崩していけないということで、高嶺と莉央はマンションの部屋に戻った。

 莉央は温めたミルクのマグカップを持ち、テーブルを挟んで高嶺とリビングのソファーで向き合う。


「部屋を探すにしても、仕事を探すにしても、とにかく拠点となる場所は必要だろう。だから完全に落ち着くまで、ここに住めばいい」
「そんな簡単に住めばいいって……でも、同居?」
「部屋はある」
「それはわかってますけど、でも……」


 素直に「ではお願いします」とはとても受け入れがたい莉央に、高嶺は言葉を重ねていく。


「ただのルームシェアだ。最近じゃそう珍しくない。それに俺は一応戸籍上は夫だろ。例えば莉央が部屋を借りるにしても、保証人になれるし、社会的信用はそれなりにある」


 そう言われれば、確かに高嶺の申し出はとてもありがたい話だ。