(どうしたらいいんだ。この場合、何をしたら正解なんだ?)

 激しい混乱の中、高嶺はスマホをポケットから取り出し、天宮にメッセージを打ちかけたが、今の莉央とのやりとりをどうしても話す気にはなれず、またポケットに仕舞った。


 莉央の心をさらけ出すような目を思い出す。
 思い出すだけで身がよじれ、息が止まりそうになる。

(あの目をずっと見ていたい。他の誰でもない、俺を、俺だけに見せて欲しい……。)


 そうして思い通りにならない自分の心に向き合って、ようやく高嶺は気づいたのだ。


(俺は莉央が……欲しいんだ……!)


 自分はあの目に、莉央の全てをさらけ出す強い目に、今更後戻りできないレベルで囚われてしまったのだということに。