顔を上げると、なんとずっとストールにあごを埋めてうつむいていた莉央が、泣いていた。
ショックを受けたのか、顔は蒼白で、その真っ白な頰を、真珠のような丸い涙がポロポロとこぼれ落ちていく。
「……こうなるの、わかってたのね……だから、ついてきたんだ……笑ってやろうと……」
「あ、いや……」
高嶺としては、シャーシャーキャンキャンと子猫か子犬のように莉央が騒ぐのを見てからかってやろうと思っただけなのだが、まさか泣くほどショックを受けているとは思わなかったので絶句してしまった。
「さぞおかしいでしょうね……っ。私が常識知らずで……」
グスッと鼻をすすりながら、莉央はぎゅっと眉根を寄せ、顔を上げた。