今度は明らかにガッカリして萎れている。それもそうだろう。二件続けて部屋を見ることすら叶わないのだ。

 だが高嶺にはこうなることが最初からわかっていた。

(そろそろ潮時か……。)


「莉央、あのな……」
「じゃあ次はこの部屋にするわ。駅一つしか離れてないから、先を越されることはないと思う」


 莉央は気持ちを切り替えたのか、また真剣な眼差しで次の紙をゴソゴソを調べ始めたので、高嶺は慌てて紙を莉央から取り上げた。


「あっ、なにするのよ! 返して!」


 高嶺の手から奪い返そうと莉央が手を伸ばしてくる。


「これはもう使えない」
「どうして!? あなた不動産屋さんじゃないでしょ、どうしてそんなことわかるのよ!」
「わかる。じゃあ見てろよ」