結果は高嶺が尋ねるまでもなかった。十五分ほどして、肩を落とした莉央がトボトボと不動産屋から出てくる。
「……もう部屋はなかったわ。決まってたんですって。考えてみればそうよね。これ、探したのは一週間も前だし。でも次は今から電話をしてあるかどうか確認するから大丈夫よ」
不動産屋から出てきた莉央は早口でそう言うと、バッグからスマホを取り出し、紙を見ながら丁寧に内見できるかと電話で問い合わせを始めた。
「案内可能ですって。じゃあ次はここにします」
ホッとした表情の莉央に、高嶺は黙ってうなずき、また次の不動産屋へと向かった。
だが莉央は、暗い顔をして地元密着をうたう不動産屋から出てくる。
「なんだって?」
「案内の予約が先に入ってしまったんですって。引越しシーズンだし……いい物件はどうしても競争率が高くなるって。他の物件もたくさん勧めてくださったけど高すぎて……」