「きゃあっ!」


(なになに、なんなの!?)

 凍りつく莉央であるが、高嶺は御構い無しに莉央の額に自分の額を押し当てる。

(もしかして……熱を測られている……?)

 息が触れ合うほどすぐ目の前に、高嶺の整った顔がある。彼の青墨の瞳は真剣だった。

 いつもの莉央なら高嶺にこれほどの接近は許さないだろう。だが昨日のひどい勘違いが莉央の感情にブレーキをかけた。

(ここでまた無礼だと突き飛ばしたりしたら、自意識過剰だと思われてしまうかもしれない……。これは医療行為の一環……医療行為の一環……。)

 自分に言い聞かせてなんとかやり過ごすことができた。


「壊れてないようだな」

 肩をつかんだまま高嶺がささやく。

「だから、そう言ってるじゃないですか……!」
「ふぅん……」