ホッとする気持ちと同時に、怪しく胸の奥で何かがうごめく。
「莉央……」
そっと名前をささやいて、それから頭の下に手を差し入れる。
よっぽど疲れているのだろう、莉央は目をさます気配はない。
(何やってるんだ、俺は……。)
なぜこんなことをするのか、自分でもよくわからない。でも止められない。
頰を傾け、莉央の唇に自分の唇を重ねた。
その瞬間、また胸の奥に熱い何かが生まれ、高嶺を突き動かす。
このまま華奢な莉央の体をきつく抱きしめてしまいたい衝動にかられる。
そこまですれば、さすがに莉央も目をさますだろう。莉央の盛大な勘違いは勘違いではなくなってしまうということだ。