(やだもう……。)
莉央は泣いていた。
自分が情けなくて、悔しくて涙が溢れた。
(私は、唯一私が持っているはずの体ですら思い通りにできないの……?)
「おい、莉央大丈夫か。やっぱり医者を呼ぶか?」
それまで悪魔のような微笑を浮かべていた高嶺だが、莉央がまた意識を失いそうになってそれどころではなくなったようだ。
莉央の体を支える手は力強い。そっと彼女の体を壊物のようにベッドに横たえる。
「いい……」
かすかに首を横に振ると、高嶺がまた「はぁ……」とため息をついた。
「ムカついたからってからかいすぎた。お前一応病人だからな。安静にしろ。ほら、水飲め。せめて泣いた分飲め」
そして高嶺は、莉央の口元に水さしを運び、唇の中に差し込む。