頭上から聞こえる高嶺の声は低く、よく通る美声な分恐ろしい。

 意識を失って、それから目を覚ました時、見慣れぬ部屋と、ベッド、そして、素肌に寝間着という格好で、莉央はパニックになったのだ。

 そして実に短絡的な思考回路だが、高嶺に乱暴されたのだと勘違いしたのである。


「本当に、失礼なことを言ってごめんなさい……」


 心底反省した莉央は、深々と頭を下げる。

 よくよく見れば清潔な寝間着を着ているし、枕元には水さしと、洗ったイチゴのパックが置いてある。
 高嶺はいけ好かない自分勝手な男だが、倒れた自分を看病してくれたのは事実なのた。


「……はぁ……まぁいい」


 頭上の高嶺はため息をつく。
 許してくれたのかと顔を上げると、高嶺は体の前で腕を組んだまま、莉央を見下ろしていた。