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(やってしまった……。穴があったら、入りたい……。)


 莉央はベッドの上で正座して、自分の目の前に仁王立ちしている高嶺のベルトのあたりを凝視していた。


「で、お前は、俺が意識のないお前に手を出したと本気で思ったのか」


 高嶺の【お前】という言葉にどきりとする。
 確か彼は一応【君】と呼んでくれていたはずだが、それほど怒りが大きいということなのだろう。

 お前と呼ぶなと言い返したいがとても今の状況では言えなかった。


「……だって……脱がされてた、から……」
「着替えさせただけだ」
「……はい」
「お前のために医者を呼んで、看病までした俺を強姦魔あつかいかよ」
「……ごめんなさい……」
「は? 聞こえないな」