最高級のタワーマンションである。防音に関してはかなりの精度があるはずだ。
 いったいどこからだと周囲を見回していて、ふと自分の部屋に莉央がいることを思い出した。


「まさかあいつが?」


 パソコンをテーフマルの上に置いてベッドルームへと向かうと、その【まさか】である。

 莉央が身を丸くして、シクシクと泣いていた。


「おい莉央。どうした。医者を呼ぶか」


 よっぽど具合が悪いのかとベッドに近づき顔を覗き込むと、はっと顔を上げた莉央が、子供のように目を赤くして高嶺を睨みつけている。


「なんだよ」
「……てい」
「は?」
「最低っ!」
「おわっ!!!」


 そして莉央は、枕をつかんで高嶺の顔を力任せに殴りつけていた。何度も。何度も……。