ゆっくりと前のめりに倒れていく莉央を見て、高嶺は慌てて両腕を伸ばし受け止める。
「莉央!」
抱きとめた莉央の顔は蒼白だった。
そのまま莉央の口元に耳を近づける。呼吸は問題なさそうだ。
(救急車……いや、確かマンションのサービスに近所の医院から医者の派遣があったな。こっちの方が早い。)
いったん莉央をソファに寝かせ、一階のマンションコンシェルジュに連絡を取ると、すぐに医者を派遣すると返答があった。
とりあえず、広いほうがいいだろうと、自分の部屋のベッドに莉央を運ぶ。十分もしないうちに医者が看護師とともにやってきて、様子を見たあと「過労ですね」と診断を下す。
「過労?」
「ええ。睡眠不足に栄養不足……極度のストレス。それで体調を崩したのでしょう。点滴をしておきます。少し熱が出るでしょうが……あとは消化に良くて滋養のあるものを食べて、ゆっくり休ませてあげてください」
「滋養のあるもの……わかりました」