(出したのは新しい男か。今年の分を返してきた莉央にその余裕があるとは思えない。)

 高嶺はスマホでホテルの部屋代を検索して、それを莉央に見せる。


「ほら」
「……いち、じゅう、ひゃく、せん、まん……じゅう……やだ!」


 莉央は心底驚いたようだ。
 慌てたようにおろおろし始める。


「キャンセルしなきゃ」
「誰が取ったんだ」
「羽澄。昨日一緒に来ていた……」
「ふぅん」


(ということは新しい男ではないのか? いやまだわからんな。)

 それからすぐにひらめいた。


「ならうちに来るか」
「……はい?」
「使ってない部屋はたくさんある」
「いやよ、何言ってるの」