「どうした。言いたくないのか。だがこれ以上業務の邪魔をされるのは俺としても不本意なんだがな。君の希望通りにスムーズに離婚したいなら密な連絡は必要だ」
「そ、それは、わかってますっ!」


 莉央は持っていたスマホを高嶺に突き出す。


「なんだ」
「……から、ないから……」
「は?」
「自分の番号、わからないから。あなたのも入れてください……」
「嘘だろ?」
「こんなことで嘘をつきません!」


 莉央は真っ赤になりながらスマホを高嶺の手の中に押し付け、ぷいっと窓の外に顔を向ける。


「今時珍しいな」
「初めて持ったから……」
「マジかよ」