「……ん」


 莉央が寝返りを打ちながら、高嶺の腰に手を乗せ裸の胸に顔をすり寄せる。

 その安心しきった仕草に、愛おしさで胸がいっぱいになる。

 悲しくもないのに、なぜか一瞬涙が出そうになった。


(いや、不安になる必要はない。莉央を見ている限り、彼女にふさわしい男であろうと思う限り、俺はきっと大丈夫だ。)


 願わくば、ただ一日でも長く、莉央が俺を愛してくれますように。

 そして彼女を支えられる場所に立っていられますように。





【番外編・高嶺正智の有給休暇】完結