「……正智さん」


 そんなことを考えていると、唇が離れた瞬間、莉央が高嶺のシャツをつかんで揺さぶってきた。


「お風呂、入るんでしょう?」


 莉央が頬を染めて、はにかむように笑う。


(そうだった。あー、そうだった。自分で言っておいて、後でいいとはさすがに言えないか……。)


 若干墓穴を掘ったような気がしたが、一緒にお風呂も高嶺の立派な野望の一つ。

 莉央を抱き起こし、乱れた髪を手ぐしで整えてやった。


「じゃあ先に入って待ってる」
「うん」


 莉央は顔を赤くしてうなずいた。



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