莉央はもちろん知らないことだが、羽澄に「幼い頃莉央と一緒にお風呂に入っていた」と言われたことを、高嶺は根に持っているのだ。
とはいえ、さすがに莉央は恥ずかしい。
まだそういう関係にもなっていないのに、いや、そういう関係になる前に入るものなのか、莉央にはまるで見当もつかない。
「えっと、あの……」
「入りたい」
戸惑う莉央に全く譲る気がなさそうな高嶺に、莉央の胸の中心のあたりはきゅうっと締め付けられる。
「莉央、大好きだ。断らないでくれ」
なんだかんだと、ずるずる先延ばしされてきた今の状況だが、高嶺の率直な愛情は莉央を幸福な気分にしてくれる。
それに自分だって、高嶺のことを大事に思っているのだ。
愛しているからそばにいたい。彼が自分を求めてくれるように、自分だって彼を求めているのだ。だから決死の覚悟でうなずいた。
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