個展最終日から五日後。

 個展が終わったあとも、連日打ち上げという名の接待や、取材の仕事が山積みだったのだが、今日ようやく一息つくことができた莉央は、開放感に包まれていた。


「とりあえず今日と明日、何もしなくていいの!」


 昨晩深夜に帰宅してそのまま泥のように眠り、昼に目覚めた莉央は、妙なテンションで歌でも歌いたくなっていた。
 

「明後日は?」
「……美術雑誌の取材があるけど。明後日のことだから、いったん忘れてもいい……はず」


 高嶺の問いに、思わず気まずくなり子供のような言い訳を口にする莉央だが、高嶺はくすりと笑う。


「現実逃避か」
「まぁ、そうとも言うわね」