「初めましてこんにちは。あなたの妻です。早速ですけど離婚してくださる……?って笑ったんだ。あんまりにも綺麗で圧倒されて……だからムカついて、絶対離婚してやらんと決めた俺を褒めてやりたい」
「そうね、負けず嫌いの正智さんのおかげね。ありがとう」
二人はくすくすと笑い、ふと穏やかに見つめあう。そして当然のごとく、吸い寄せられるように唇を重ねた。
莉央は思う。
私の恋はまだ始まったばかりなのだと。
この人のことを大事にしよう。
空に太陽と月があるように、自分にとって不可欠な存在のこの人を、愛し抜こう。
「正智さん」
「ん?」
莉央の頰に指を滑らせながら高嶺は愛しい妻を見つめる。すると彼女は艶っぽく笑いながら、小さく首を傾げた。
「有給とってくれた?」
空港で別れの時に口にした、半ば本気の軽口を、莉央は覚えていてくれたようだ。
「翔平が怒り狂うレベルで」
内心震えるほどの興奮を覚えながら、たまらず高嶺は莉央の体を抱き寄せていた。
【初めましてこんにちは、離婚してください】