「うん」
月も星も太陽も
いつもより綺麗に見えるのは
金色に輝くあなたがいるから
そんな思いを込めて描いたのだ。
じっと画を眺める高嶺の隣に立つと、優しく肩が抱き寄せられる。
この時間が幸せすぎて、涙が出そうだった。
しばらくそうやって見入っていた高嶺だが、和装の莉央を見下ろして、思い出したように眉根を寄せる。
「その着物……」
「気づいた? あなたのところに初めて行った時のものよ。いちばんのお気に入りでここぞというときに着るって決めてるの」
にっこりと笑う莉央に、高嶺は苦笑する。
「似合ってるけど、それ見るたびに当分ヒヤッとしそうだな」
高嶺はタカミネコミュニケーションズ社長室に、初めてやってきた莉央の姿を思い出す。