けれど設楽のとった行動は全くの真逆だった。
「しっかりなさい、行きますよ」
腕時計に目を落とし時間を確認すると、しゃっくりあげ、それでもしどろもどろに話す莉央の手をつかみ、ドアの外へと向かう。
「せんせい……?」
この選択を後悔する日は来るかもしれない。けれど結局自分は、長く莉央の先生であり過ぎたのだ。
------
設楽と乗り込んだタクシーの後部座席で、莉央は手の中のメモを開いた。
ヨレヨレになってしまったそれを、膝の上に広げて、手のひらで伸ばす。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…