年が離れているからしょうがないと自分に言い聞かせても、感情がそれを許してくれない。


「バカみたい……」


 高嶺の過去に嫉妬する子どもっぽい自分に、泣きたくなる。


 壁時計を見上げると、そろそろ高嶺が帰ってくる時間だ。

 すぐに出せるよう夕食の準備をしたあと、まどろむようにソファーに横になった。


(自分の部屋で寝たいけど……やっぱり正智さんの顔見たいし……。デートのことも相談したいな……。)


 そうやってしばらくうとうとしていると、
「こんなところで寝てたら風邪ひくぞ」
 高嶺の両手が頰を包み、おでこにキスが落ちる。


「あ、おかえりなさい……」


 莉央は目をこすりながら体を起こす。

 時計を見ると日付が変わっていた。いつもよりだいぶ遅いようだ。


「しあさってから三週間、シリコンバレーに出張になった」
「えっ!?」
「多分個展に間に合うように帰れると思うんだがな」