翌日、墓参りを済ませた莉央は午後の新幹線で東京に戻ることにした。


「まずは個展を成功させるために頑張るのよ。体に気をつけてね」


 京都駅の新幹線改札を過ぎても、莉央は涙目になりながら見送りのメンバーに手を振る。


「みんな、元気でね! すぐ会えると思うけど体に気をつけてね!」


 そうやって何度も振り返りながら手を振る莉央に、税所兄姉たちも精一杯手を振り返した。


「莉央ちゃま個展見に行くからね、高嶺さんよろしくね!」
「体を大事にね!」


 一緒に来ていた税所家の兄姉たちは、概ね高嶺に好意的だった。

 なんの因果か、契約結婚で繋がった二人は、十年の時を経てお互いを思い合うようになったのである。