「実は母は俺が高校生の頃に結婚して、今は海外にいる」
「えっ!」
「だから俺が結婚していたことも知らない」
「それはさすがにまずくない?」
「まずいな。たぶんぶっ飛ばされる」


 クックッと笑う高嶺だが、莉央としてはできればぶっ飛ばされる高嶺は見たくない。

 いったい高嶺を生んだ女性とはどんな人なのだろう。


「オーストラリアに住んでるんだ。いつか一緒に行こう」
「うん」


 素直に頷くと、高嶺は嬉しそうに莉央の頬にキスをする。


「もっ、もう!」


 いきなりのキスに莉央の顔が赤く染まる。


「嫌か?」

 高嶺の唇が、今度はこめかみに移動する。

「嫌じゃ、ない……」