部屋を見たいと言われて中に入れたのは自分なのに、怒涛のように戸惑いが押し寄せてきた。


(どうしよう、私、意識しすぎてる。二人でいるの恥ずかしい……。)


 なんとかしてこの場を切り抜けようと、高嶺に背中を向けたまま、莉央はキョロキョロと周囲を見回す。


「あー、えっと、あっ、そうだお茶でも飲む? お酒でもあったらいいんだけど、私も母もほとんど飲まないから、羽澄の家に全部あげちゃってっ!」
「……莉央」
「あっ、いや、いただきものも多いから、お台所を探したらあるかも! 私取ってこようかなって、ひゃっ……」


 気がつけば後ろから抱きしめられていた。


「……っ、あのっ……」