(着彩は明日以降にしよう。この部屋、値段はわからないけどすごく高そうだし……汚したりしたら大変だもの。)

「ふわ、眠い……」

 莉央は小さくあくびをして、ソファに横になった。

(食事の時間まで、少しだけ……。)



 けれどそのうたた寝があまり良くなかったようだ。

 妙に寒気を覚えて目をさますと、こめかみの辺りがズキズキと痛む。

(失敗した……。)

 もともと神経が張り詰めていたのだ。
 東京に来たのも生まれて初めての大冒険である。ちょっとしたことで体調を崩すのも当然だろう。

(でも、具合が悪いなんて言ったら羽澄が大騒ぎね。黙っておこう。)

 手荷物から常備している鎮痛剤を取り出して水で流し込んだ。