(あっ、あっ、温めるって、そういうこと!?)
「ほら、真っ赤になった」
顔を離した高嶺は、クスクスと笑いながら、リンゴのように赤くなった莉央の唇を、親指でなぞり、それからまた奪うように軽くキスをする。
「もっ、もうっ……!」
慌てて押し返したが、高嶺はそんな莉央の様子すら可愛くて仕方ないらしく、またキスしようと顔を覗き込んでくる。
「だからもうからかわないでって……」
「可愛いからいじめたくなる」
「そういうこと言わないのっ!」
「えー、こほんこほん……お母さん、ここにいますよ?」
イチャイチャしている二人を見ているのが親として気まずかったのかなんなのか、
「きゃー、お母さんっ!」
莉央は所在無さげに立っている背後の母に気づいて、飛んで逃げたくなった。
だが高嶺は動揺した様子もなく、優雅に微笑む。